- 浅野格之紳のストーリー
- 弁護士にとって事務所は「ホーム」
検察官志望からとびら法律事務所で弁護士になるまで
「なんでもやる弁護士にはなりたくなかった」
浅野格之紳
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- 浅野弁護士は子どもの頃から弁護士になりたかったんですか。
- いえ、子どもの頃はカブトムシやクワガタを養殖する人になりたかったんです。朝5時に起きて友達と待ち合わせをして採りに行っていました。将来、家を建てて、庭にクヌギの木を植えるつもりでした(笑)。
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- いつ頃から夢が変わったんですか笑
- 小学校高学年くらいまではその夢が続いて・・・笑
実は、その後はずっと夢がない状態でした。
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- では、司法試験を目指したのはなぜですか。
- 大学3年生のときに自分の人生を考え直すきっかけがありました。
その頃、証券会社を中心に就職活動をしていたんです。先輩から、「浅野くんはなんで証券会社で働きたいの?」と聞かれて。うまく答えられませんでした。
「世の中には、困っている人を普通の状態に持っていくための仕事と、普通の人を普通以上の状態に持って行く仕事の2種類がある。浅野くんはどっちの仕事に就きたいの?」と聞かれたんです。
自分の原点に立ち返って考えたとき、子どもの頃から「正義」に対する強い憧れがあったことを思い出しました。一方的に誰かを傷つけたり、理不尽なことを誰かに強いたりすることに憤りを感じていました。それで、自分のやりたいことは、困っている人を普通の状態に持っていくことだと。そこから就職活動をやめて、司法試験に転向しました。
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- 司法試験に合格した後、進路への迷いはありましたか。
- ありました。HEROの影響で、検察官に憧れていました。自分の原点が正義に対する憧れだったので、検察官は、犯罪を犯した人の罪を追及するという点でわかりやすい正義があるように思っていました。
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- ではなぜ弁護士に?
- 修習の途中まで検察官志望で、手応えとしても、任検できる感触はありました。
でも、検察官の仕事は上下関係や組織の中で働かなければならず、窮屈な印象を受けました。また、正義というものは絶対的なものではなく、検察官も必ずしも自分の考える正義に沿って職務を遂行できるわけではないこともわかってきました。
それに自分の人生を考えたとき、検察官になって家族を大切にできるのか自信がなかったんです。私にとっては、仕事も大事ですが、自分の家族もとても大切な存在でした。仕事も家族も大事にできる環境で働くには、弁護士しかないと思いました。
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- とびら法律事務所にはどういう経緯で入所しましたか。
- 私がロースクール生のとき、鶴岡先生と村上先生が以前勤めていた事務所にエクスターンで研修に行ったことがきっかけでお二人と知り合いになりました。
そのお二人が独立して事務スタッフのアルバイトを探されていたので、修習開始までの間とびら法律事務所でアルバイトをしていました。そこで、お二人が依頼者の方に本当に真剣に向き合っている姿勢に共感を覚えていました。事務所のことにもいろいろ意見を言えて、自分のやる気次第で事務所の方向性に大きなインパクトを与えられる点にやりがいも感じました。それで、修習の始まる直前に鶴岡先生と話をして、「弁護士になるならここで働きたい。」と伝えていました。
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- 鶴岡先生の反応は?
- 「検察官がダメだったからうちで働きたい、という気持ちなら採用するつもりはない。弁護士になりたいと積極的に思って、それでもうちで働きたいという気持ちになったら連絡してきなさい。」というものでした。
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- それで連絡したんですか。
- はい。先に任検担当の先生にお断りの連絡を入れて退路を断ってから、鶴岡先生に連絡しました。
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- 離婚事件に特化した事務所である点はどう考えていましたか。
- 元々私は家事事件に強い興味があったわけではないんです。
ただ、とにかく「困っている人を助けたい」という気持ちが強くありました。
と同時に、何でもやる弁護士にはなりたくなかった。自分の専門を決めて徹底的にその分野を追求するスペシャリストになりたいと思っていました。
離婚事件は、とても身近な問題で苦しんでいる人が本当にたくさんいるんです。
多くの弁護士が離婚事件を扱っていますが、とびら法律事務所ほどこの分野を追求している事務所は全国的に見ても希少だと思います。
たくさんの困っている人の力になれて、スペシャリストにもなれる、私にとっては理想の職場でした。
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- 実際働いてみてどうですか。
- 毎日人の人生にどっぷり関わって濃い時間を過ごしています。
夫からひどい暴力を受けて離婚を拒否されているケースで無事離婚を成立させたとき、何度も浮気をされたのにお金ももらってないようなケースでしっかりお金を獲得して離婚を成立させたとき、お子さんが虐待を受けているケースで親権者変更できたときなど、満足する結果を残せたときには、よし!と心でガッツポーズをしています。
それだけやりがいがありますし、感謝されることも多いです。
「初めてぐっすり眠れた。」と依頼者の方から言われたときは、その方のためにがんばってよかったと心底思いました。
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- とびら法律事務所に入ってどう成長しましたか。
- いい意味で度胸がつき、行動力もつきました。
入所して、依頼者の方は結果だけでなくスピードも求めていることがよくわかりました。鶴岡先生からも、「依頼者の方から言われて動くのでは遅い。弁護士がその気持ちを予測して先回りして動かないと信頼してもらえない。」と助言を受けました。私は慎重な性格で、いろんなことを完璧に調べてから動きたいタイプだったんです。
でもそのやり方だと自分は満足しても、依頼者の方は満足しないことがわかりました。不安な面があっても、鶴岡先生は「いいからやってみろ。」、村上先生も「やれることはすべてやる。」というスタンスで背中を押してくれるので、思い切って動けています。
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- どんな視点で事務所を選べばいいか迷っている人も多いと思います。何かいいアドバイスはありますか。
- なにより大事なのは、事務所の雰囲気です。
弁護士にとって、事務所って「ホーム」ですよ。働いてみてそれがよくわかりました。毎日事務所に来て、そこで他の人と話して、相談したり、起案をしたり、すべての中心が事務所なんです。
ですので、事務所の雰囲気と自分が合うか、を優先すべきです。
自分のやりたい分野とか、就職する前は考えるかもしれません。でも、刑事事件をやりたかった人が1件やっただけでやりがいを見失ったり、労働者側で労働事件をやりたいと思っていたのにむしろ会社側の言い分に共感できたりと、実際弁護士として事件を扱ってみると当初の目論見とは変わってくることが多いです。
また、やりたい分野ができる事務所に入ったのに、人間関係が悪かったり、オーバーワークで体調を崩したり、待遇がとても悪かったりすると、1年も経たないうちに辞めることになります。
東京三会や事務所説明会、できればエクスターンみたいなので数日でも事務所の雰囲気を感じてみて、居心地がいいかどうかが判断できるといいと思います。
まあ、事務所の雰囲気はイコール経営者の雰囲気といってもいいと思うので、経営者との相性はとても大事だと思いますよ。
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- その意味でいまの事務所の雰囲気はどうでしょうか?
- お世辞抜きにとてもいいと思っています。
まず、言いたいことが言えます。1年目のときから、いえ、事務スタッフのアルバイトをしていたときから、事務所運営について自分の意見を言うことができました。それに私たち勤務弁護士のことを大切にしてくれていると感じます。プライベートも重視してくれますし、待遇面も自分ががんばったら還元してくれています。
誰かがいい結果を残したときは、自然と「すごい!」「おめでとう」という言葉が出てくるような雰囲気です。
自分の意見で新しいサービスが始まったり、事務所のレイアウトが変わったり、事務所を動かしている実感が湧く事務所はなかなかないと思います。
(注)2017年に行われたインタビューです。